ドメイン適応

敵対的訓練を用いた教師なしドメイン適応

深層学習を用いた物体検出では,ソースドメインとターゲットドメインの間に背景やスタイルなどに大きな乖離があるとき,ターゲットドメインでの検出性能が低下してしまう.このドメインシフト問題は,深層モデルがソースドメインに固有な特徴を抽出するために起こる.本研究では,深層モデルに対する敵対的攻撃に対してロバストな特徴がドメイン不変な性質を持つことを利用し,教師無しドメイン適応のための特徴抽出法を提案する.提案手法では,ソースドメインでの深層物体検出モデルの敵対的訓練によりロバストな特徴を抽出しつつ,ソースドメインとターゲットドメイン間の特徴アライメントを加えることでドメイン適応を実現している.さらに,提案手法のターゲットドメインでの検出精度は,ソースドメインからの Frechet 距離が大きいほど向上することを発見し実験的に検証している.この結果を用いれば,提案手法の有効性を深層学習前に判定することができる.検証用データセットを用いた実験で,ベースラインと比較しつつ提案手法の有効性を示している.

Kazuma Fujii, Hiroshi Kera, and Kazuhiko Kawamoto, Adversarially Trained Object Detector for Unsupervised Domain Adaptation, IEEE Access, vol. 10, pp. 59534-59543, 2022 [paper].

藤井一磨,計良宥志,川本一彦,敵対的訓練を用いたドメイン不変な特徴抽出,情報処理学会研究報告. Vol. 2022-CVIM-229, No.35, pp.1-8, 2022 [paper].

1ステージ物体検出のためのドメイン適応

教師なしのクロスドメインの物体検出は,アノテーションコストを大幅に削減できることから,近年注目を集めている.2段階の検出器では,特徴レベルの適応においていくつかの改善がなされている.しかし,このアプローチは,インスタンスレベルの特徴量にアクセスできない1段検出器には適していない.1段目の検出器には他のアプローチがよく用いられるが,その性能は2段目の検出器の領域適応法と比較して不十分である.本研究では,生成的かつ自己教師付きの1段目の検出器のドメイン適応法を提案する.提案手法は,敵対的生成手法と自己教師化ベースの手法から構成される.本手法を3つの評価データセットでテストしたところ,本手法を用いて平均平均精度の向上が達成された.また,敵対的生成法と自己教師法の相補的な効果を確認した.

Kazuma Fujii and Kazuhiko Kawamoto, Generative and self-supervised domain adaptation for one-stage object detection, Array, Vol. 11, 2021 [paper].